【2014年6月27日号】耳鳴りの話
耳鳴りとは周囲で実際には音が鳴っていないのに鳴っているように聞こえる音です。最も多いのは加齢に伴う耳鳴りでキーン、ジーといった持続性の音です。50代位から高音部の聞こえが徐々に弱ってきますが、これは内耳の働きの衰えによるものです。内耳には音(空気の振動)を神経の信号に変換する役割があります。内耳がうまく働かなくなるとチューニングのずれたラジオがノイズを出すように、耳鳴りが起こりやすくなります。注意が必要なのは耳のつまり感、聞こえの悪さ、めまいなどが同時に起こるもので突然発症するものです。治療を急ぐ病気である事もありますので早めの受診が必要です。
また、拍動するような音、心臓の鼓動に一致するような音の場合は耳ではなく脳血管の異常や動脈瘤が隠れていることがありますのでMRIなどの画像検査を行う事もあります。
現在のところ、耳鳴りの治療で決定的なものは無く、薬も治すのではなく音を和らげる効果にとどまります。数年以上続いている慢性的な耳鳴りについては薬の効果がほとんど出ない事も珍しくありません。慢性化する原因の一つに、耳鳴りに対する恐怖、不安感が影響する事が言われるようになってきています。原因がわからない事、将来頭がおかしくなってしまうのではないかなどと思い悩むうちに、脳の中で耳鳴りを増強する回路ができあがってしまうという考えです。逆に原因を確認し理解することで不安が取り除かれれば、それだけで耳鳴りが軽減する例もあります。
軽度の耳鳴りの場合、周囲の雑音に埋没して日中は自覚しないものが、夜間就寝前に静かになると気になってくる事があります。気になって寝付けないようであれば、静かな音楽を流したり、タイマーをつけてテレビ、ラジオをつけることで気にならなくなる事もありますのでお試し下さい。