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江別市の耳鼻咽喉科-くろだ耳鼻咽喉科クリニック

メニエール病

はじめに

メニエール病はめまい、耳鳴、難聴の3つの症状が反復することが特徴の病気です。
診断基準としては、

A.症状

1.めまい発作を反復する。めまいは誘因なく発症し、持続時間は10分程度から数時間程度。

2.めまい発作に伴って難聴、耳鳴、耳閉感などの聴覚症状が変動する。

3.第Ⅷ脳神経以外の神経症状がない。

B.検査所見

1.純音聴力検査において感音難聴を認め、初期にはめまい発作に関連して聴力レベルの変動を認める。

2.平衡機能検査においてめまい発作に関連して水平性または水平回旋混合性眼振や体平衡障害などの内耳前庭障害の所見を認める。

3.神経学的検査においてめまいに関連する第Ⅷ脳神経以外の障害を認めない。

4.メニエール病と類似した難聴を伴うめまいを呈する内耳・後迷路性疾患、小脳、脳幹を中心とした中枢性疾患など、原因既知の疾患を除外できる。

5.聴覚症状のある耳に造影MRIで内リンパ水腫を認める。

Aの3つの症状を満たした場合にメニエール病を疑い、さらにBの1-4を満たした場合に確実とされます。つまり、めまいのみで聞こえが正常、耳鳴がないものはメニエール病を疑うものではありません。
また変動、反復することも条件となっているため、初回の発作時には診断を確定するのは困難です。

Bの検査所見を確認するためには、1.聴力検査、2.特殊な眼鏡を用いての眼振検査で眼球の動きを見ること、3.体の麻痺、しびれなどはない、4.聴神経腫瘍、脳梗塞、脳腫瘍ではない(MRI)、が必要となります。

似たような症状を示すものとして、a.突発性難聴 b.聴神経腫瘍が挙げられます。

aは聴力が変動、反復しないこと、メニエール病では低音域が中心に悪化する事が多いこと

bは聴力の内耳機能検査で必ずしも低下しないこと、MRIで腫瘍が描出されることで判別されます。

原因

低音障害型感音難聴と同様の内耳のリンパ液の循環が悪いことが考えられています。低音障害型感音難聴の項をご参照下さい。

治療

急性低音障害型感音難聴と同様の薬物治療が中心となります。薬剤で改善せずめまいで日常生活に支障がある場合には手術が行われることもあります。また内服以外の治療法として、鼓膜にチューブを入れた後にチューブを通して薬剤を直接中耳に注入する治療(鼓室内ステロイド注入)、中耳に圧力をかける携帯用の器械を使用する(メニエット)、生活指導、などがあります。

類似疾患

低音障害型感音難聴とは低音部中心の悪化、反復で類似しており治療にも同様の薬剤を使用します。
メニエール病の亜型として蝸牛型メニエール病というのがありますが、低音障害型感音難聴とほぼ症状は同じです。
遅発性内リンパ水腫は高度難聴を発症して数-数十年経過した後にめまいを反復する疾患で、近年国の認定する指定難病に登録されました。

FAQ

Q.治らない病気なのか?

A.一回一回の発作については安静、投薬で数日程度で軽快する事が多いです。ただし反復する事が多いため、同様の発作が数日から長い場合は数年おいて繰り返されることがあります。放置すると発作の度に難聴が進行する事があるため、毎回きちんと治しておく必要があります。


Q.薬は長期間使用する必要があるのか?

A.内耳に貯留したリンパ液を出すために利尿薬(尿を増やす薬)をよく使用しますが、長期で使用するべきかどうかは意見の分かれるところです。長期で使用することにより体が抗利尿ホルモンを多く出すようになり効果が減弱するとの考えもあります。当院ではある程度安定したところで一度休止を考えますが、今までずっと使用されてきた方についてはそのまま続けて頂く事もあります。


Q.普段気をつけることは?

A.一般的な健康法と同じですが十分な栄養と休息、睡眠、ストレスがあればそれを取り除く事です。