友達追加
WEB予約
オンライン診療

江別市の耳鼻咽喉科-くろだ耳鼻咽喉科クリニック

扁桃の病気

はじめに

扁桃腺(正確には腺組織ではないので扁桃)は何のためにあるのか,未だ全てが解明されたわけではありませんが免疫に係わってる事は確かです。ウィルス、細菌などの微生物に接触し刺激されることで続く免疫反応を誘導する門番の役割が考えられています。一方で扁桃が原因で様々な病気を引き起こす事も多く、一般には悪者としてのイメージがあるのではないでしょうか。

のどの両側にできものができたと受診される方もいますが、それが扁桃です。小学生頃までは大きく胡桃大に見えますが、大人では縮小し、粘膜に隠れてよく見えない事もあります。

図は鼻アレルギーフロンティア
vol.12 No.3 2012より

1.扁桃炎

a 急性扁桃炎 溶連菌感染、 咽頭結膜熱 伝染性単核球症、クラミジアなど扁桃を綿棒でこすって菌検査を行い判別します。強い痛み、高熱を伴う事が多いです。

b 慢性扁桃炎 軽度の痛み、微熱が長期間持続することがあります。

c 習慣性扁桃炎 急性扁桃炎を年4回以上繰り返すもの、手術で摘出することがあります。

2.扁桃肥大

扁桃が大きくても症状が無ければ問題ありませんが、いびき、睡眠時無呼吸、飲み込みにくい、声のこもりなどの原因になれば手術を考慮します。小児のいびき、無呼吸の原因の大半は扁桃、アデノイドの肥大によります。

3.病巣感染症

扁桃そのものにはほぼ症状はなく、他の所の病気を引き起こす原因になるもの
IgA腎症(慢性腎炎の一つ)、掌蹠膿疱症(掌、足の裏に小さい膿疱を繰り返す)胸骨、肋骨、鎖骨部の慢性的関節炎などが有名。慢性的に扁桃で免疫反応が引き起こされて出来た反応物質が全身に廻る事で発症すると考えられています。手術で改善する事があります。

4.腫瘍

まれに癌、リンパ腫などができることがあります。

5.膿栓

病気とはいえませんが、本来扁桃の表面はでこぼこしておりたくさんの窪みがあります。そこに貯まる垢のようなものですが、大きなものが貯まると異物感の原因になる事があります。自然にポロッととれてしまう事もありますが、嵌まり込んでいる時は吸い取る処置をする事もあります。

FAQ

Q.手術で取ってしまって大丈夫なのか?

A.扁桃が免疫に関係しているなら取ってしまうと免疫力が弱くなるのでは?と考えるのは当然です。
実際、手術直後の検査では免疫物質が減少するものの、数週間後にはほぼ回復するとの報告もあり、実際の所は手術後に免疫が弱って病気の原因となることは無いようです。経験もありません。小児でも肥大症、睡眠時無呼吸のためしばしば扁桃を摘出しますが、後々問題を起こした報告はないようですので現在のところはあまり気にしなくてもよいようです。

Q.扁桃炎は他の人へ感染するのか?

A.細菌性の場合はほとんどが溶連菌が原因ですが,症状はのどの痛みと発熱です。かぜとは違い咳、鼻水はほとんど出ないため飛沫感染は起こりにくいように思えます。家族内感染については5%程度の発症率との報告もあり、また学校保健法でも欠席は症状に応じて判断するとされており、実際には抗生剤内服後に解熱すれば感染性は低下していると考えて良いと思われます。ウイルス性ではアデノウィルスによる咽頭結膜熱が有名ですが、こちらは感染性も高く抗生剤も無効であり数日間高熱が続く事も多いです。学校保健法でも解熱後2日間の欠席が定められています。伝染性単核球症はEBウィルスにより発症し、高熱、首のリンパ節の腫れが数日間続きます。10~20歳代に多く、主に唾液から感染します。基本的には一度感染すると生涯免疫となります。クラミジア、淋菌は性感染症として増加していますが、除菌されないと他人へ拡散する原因となります。抗生剤の効きにくい菌種が増えているため治療後の菌消失の確認、また感染源となった人の同時の治療も必要となります。

Q.肥大した扁桃は小さくなるのか?

A.生後はまだ小さい扁桃は徐々に大きくなり、5~8歳頃に最大となります。思春期からは徐々に小さくなり20代には目立たなくなっていくのが一般的です。しかし扁桃炎を繰り返したことが原因で肥大した場合には大人になっても肥大したまま残ることもあります。大人になってから扁桃炎ではないのに肥大してきたり、片側だけ、または一部だけが大きくなった場合には腫瘍である可能性もあるため診察を受けた方が良いでしょう。