【2023年10月号】 熱と感染症
新型コロナウィルス感染症が始まってから3年が経過し、現在は弱毒化により5類感染症指定となりました。症状は熱の他、咳痰、鼻水、のどの痛み、頭痛などで風邪、インフルエンザなど他のウィルス感染症とあまり区別がつきません。他に同様の症状を示すウィルス感染症としてパラインフルエンザ、RS、ヒトメタニューモなどがありますが、大人では重症化することはあまりないため特定する検査も通常は行わず風邪として対処されます。
これら風邪に代表されるウィルス感染症には抗生剤は無効のため対症療法が中心となります。
強いのどの痛みと発熱を伴う場合、扁桃炎を疑います。のどの両脇がクルミ状に腫れたり、充血、白いぶつぶつした膿がついている場合は細菌が感染していることがあります。子供では溶連菌の検査が行われ、陽性の場合は抗生剤が必要となります。扁桃炎でもアデノウィルス、EBウィルスなどウィルス感染によるものもあり溶連菌感染症で使用されるペニシリンを使用すると副作用が出現する場合があり注意が必要です。
以前は病院でしか処方できなかった薬が処方箋なしに薬局で購入できるようになってきています。アセトアミノフェン、イブプロフェンなど古くからあって安全性も確認されているものはコロナ、インフルエンザの場合も含め小児から大人まで広く使用されています。一部の解熱鎮痛剤はウィルスによっては使用できないものもあるため薬剤師に確認してください。以前はそれぞれの感染症は毎年ほぼ決まった時期に流行していましたが、コロナ期の感染対策によるものか、はっきりした流行パターンが認められなくなってきています。医療者側も通年で様々な感染症の可能性を念頭において診療する必要が出てきています。