【2023年6月号】 補聴器の進歩
補聴器の役割は小さな音を大きくして耳に伝えることです。従来からあったアナログ型の補聴器はレコード再生に例えることができます。レコードの溝の針を落として回転させると溝のわずかな凹凸で針が振動します。これを電気信号に変換しますが、そのままでは音が小さすぎて聞こえません。信号を電気的に増幅して大きな信号にして再生します。耳(内耳)にも同じ増幅装置が備わっており、小声でも聞き取れるようになっていますが、病気や加齢でその働きが弱くなると小さな音を大きく出来なくなります。補聴器はその代わりに音を大きくして耳に送ってくれます。大きなアンプを超小型にしていると考えられます。 現在主流のデジタル型の補聴器はCDやスマホなどにダウンロードした音楽に例えられます。音は全て数値化されたデジタルデータに変換され増幅後、スピーカーから音を出すときに再度アナログ変換されて音になります。 そのメリットは音質の他、機能的な部分が大きいと思います。デジタル的に処理をすることで雑音の低減、瞬間的な大音量への対応、個人の聴力型に合わせた細かい調整が可能です。音楽用と同様にBluetoothに対応、スマホとの連携機能を謳った製品もあります。家電店や通信販売で購入できる集音器は個人に合わせた調節は困難ですが、高音から低音まで全体的に悪い人、軽度の難聴であれば十分かもしれません。 補聴器に対する悪いイメージの大半は雑音に対してのようですが、音楽用のノイズキャンセリングイヤホンと同様にかなり軽減されています。見た目のデザインも大分洗練されてきました。価格は様々ですが基本的な音を聞く部分は普及価格帯のもので十分と思われます。高価な製品は様々な機能が付いていますが、家電と同様、本当にその機能が自分に必要なのか考えましょう。