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江別市の耳鼻咽喉科-くろだ耳鼻咽喉科クリニック

まんまる新聞

【2023年2月号】 体温計の音が聞こえない

 最近では新型コロナウィルスの流行で、体温を測定する機会が多くなっていると思います。多くの体温計では測定が終了すると電子音がピピッと鳴りますが、ある日この音が聞こえないことに気付きます。テレビを見るときや会話での聞き取りには異常ありません。時々静かなときにキーン、シーンというような音がかすかに聞こえるような気がします。 病院を受診し聴力検査を受けると高音部の聞こえが良くないことを指摘されます。

 以上のようにいつの間にか聞こえ、特に高音部が悪くなっているのは高齢者に多く認められます。50歳を過ぎた頃から高音部の聴力が下がり始めますが、通常自覚はありません。更に年数が経過しますと、やや低音寄りの部分も下がり始めますがやはり自覚しないことが多いです。語尾やささやき声が聞き取りにくいと感じる事もあります。またこの辺りから体温計の音が聞きにくくなる方が出てきます。更に年数が経過しますと中音部分の低下が始まりますが、この頃からはテレビ、会話などでも聞き取りにくさや聞き返しが実感されてくることになります。

 加齢性の難聴は数年単位で徐々に進行するため、ある程度悪化するまでは自覚されないことがほとんどです。健診を定期的に受けている方はこれまで正常であったのが高音部が聞こえないので受診を勧められることが初期段階になります。加齢性難聴は個人差が大きく、遺伝的な要因もあり早めに始まる方もいれば70代でも若年者と遜色ない方もいます。現状有効な治療法はないことから会話に問題がなければ様子をみる、聞き取りが悪くなるようなら補聴器を考えることになります。近年、難聴は認知症の一つの要因との報告もあり、また他者とのコミュニケーションは良い生活を送る上で重要ですのでご相談頂ければと思います。