【2015年2月27日号】良性発作性頭位眩暈症
回転性のめまいの一つです。以前サッカーの沢選手が起こした事で話題になりました。体を動かした時に突然強く回転する感覚が起こります。数分動かないでいると自然と弱まっていきます。その後また動く度に繰り返します。動いていない時には全く症状はありません。名前に良性とついている位ですので放置していても収まってしまうこともしばしばです。頭を打った後、また長期の入院や安静の後に起こる事も多いようです。
原因としては耳の奥にある半規管の働きの異常ですが、近年は内部に浮かんだ耳石が体を動かした時に一緒に動く事が原因とする説が有力です。耳石は本来、内耳の中を構成する部品の一つですが、何かの原因で剥がれたものが漂って半規管に迷い込んで来た時にめまいを起こします。従って耳石がまた半規管内から元の場所に戻ればめまいは収まることになります。安静にしていればめまいは起こりませんが、耳石も元の位置に戻らないため、病気そのものは逆に長引かせる事になります。治療法として以前から行われているのはわざとめまいを起こす事、つまり頭を振ったり寝たり起きたり、寝返りをするなどして耳石を動かしてやる事です。その時はめまいがするので恐ろしく感じますが、結果的には治りを早める事になります。通常は1-2週もたてば軽くなってきますが、改善しない時は頭を特殊な手順で回して耳石を元の位置に戻してやる方法もあります。病気の原因から、通常のめまい止めとされている薬はあまり効果がありません。
内耳が原因で起こる回転性のめまい症は他にもいろいろありますが、いずれも動いた時にめまいが強くなる性質は同じですので症状のみで診断するのは難しいです。診断には眼振(目の揺れ)の確認、難聴が無いかの確認が必要です。