【2018年10月12日号】インフルエンザ菌とインフルエンザウィルス
そろそろインフルエンザの流行時期が迫ってきました。毎年予防接種を受けている方もいると思いますが、これはインフルエンザウィルスのワクチンです。毎年流行するウィルスの型が少しずつ違うことと、作られる免疫の有効期間が短いため、毎年接種し直すことが必要になります。かぜと同様、ウィルスに抗生剤は無効ですが専用の抗ウィルス薬を使用することで症状を軽減できます。
一方のインフルエンザ菌ですがインフルエンザウィルスとは特に関係がなく、過去にインフルエンザウィルスが発見されていなかった時代に、患者から検出されたインフルエンザ菌が原因と考えられたため命名されたようです。こちらは細菌であり、小児の髄膜炎、耳鼻科領域では喉頭炎、中耳炎、副鼻腔炎の主要な原因菌になります。小児の髄膜炎は発症すると重篤化し後遺症を残すこともあることから、近年は生後にHibワクチンを定期接種するようになりましたがインフルエンザ菌b型に対するワクチンです。
インフルエンザ菌に対しては抗生剤を使用しますが、近年は薬の効きにくいタイプの耐性菌が増加しているため重症化、反復することも多くなってきました。インフルエンザ菌にもいろいろな型がありますが、副鼻腔炎、中耳炎の原因となるタイプにはHibワクチンの効果がないものも多く、発症率が大きく下がるには至っておりません。
どちらも秋から冬の特に小児にかぜが流行する時期に多く見られるため混乱しますが、実際にインフルエンザ後の急性中耳炎からはインフルエンザ菌だけではなく、インフルエンザウィルスが20-40%程度検出された報告もあります。
今年はメーカーからのワクチンの供給量には問題が無いようですので、希望者はほぼ接種可能と思われますが、余裕を持って予約されることをお勧めします。