【2024年10月号】舌の話
今回は診察でよく相談を受けることについて書きたいと思います。
- 舌が白くなってざらざらしている –
健康な舌では表面に舌乳頭という細かな突起が多数あり表面はざらざらしてやや白味がかっています。炎症を起こして表面が荒れると乳頭が部分的になくなり赤くつるつるした状態になることがあります。白いのは正常ですが白カビのカンジダ菌が感染が隠れていることもありますので、痛み、違和感など症状がある場合は菌検査を行います。
- 舌の奥にデコボコしたできものがいくつもある –
舌の付け根には有郭乳頭という2-3mm程度の大きな乳頭があります。横一列に数個並んでいますが、普段は口を開けても見えません。舌を大きく出すと見えるようになり、できものができたのかと驚くことになります。本当のできもの、癌であることもありますから確認は必要ですが、以前からずっと同じ、左右対称にある場合はあまり心配はないものと思われます。
- 舌の奥の横にできものがある –
舌の側面の一番奥にも葉状乳頭という乳頭があります。舌を大きく出してつまんで横に引っ張ると見えます。あまり決まった形をしていなくふわふわした感じですが、これも左右対称にありますので心配ないものですが、異常ではないことを説明して納得してもらうのに苦心することがあります。
- 新型コロナに感染してから味がわからなくなった –
新型コロナでは味覚だけが障害されることは少なく、たいていは同時に嗅覚も弱くなります。かぜでも同じですが、新型コロナでは特に匂いの神経に結合し嗅覚障害を起こしやすくなっています。嗅覚が麻痺すると味が分かりにくくなることはよく知られており、子供の嫌いな人参、ピーマンを食べさせるとき鼻をつまんで飲み込みなさいと昔はよく言われていました。逆に味のない水にフルーツの香りを付けるとフルーツの味を感じたりします。新型コロナウィルスで舌そのものが障害されることはあまりありません。