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江別市の耳鼻咽喉科-くろだ耳鼻咽喉科クリニック

まんまる新聞

【2021年1月号】  加齢と鼻

 鼻の役割の一つに吸った空気を暖め、加湿することがあります。鼻粘膜下には多数の血管があり、自律神経の働きで拡張、収縮することで、鼻粘膜の膨張収縮は調節されています。粘膜からの分泌液の他、毛細血管から水分が流出することで表面に湿り気を与え、逆に湿度が高すぎる時には再吸収して取り込む働きもあります。

  加齢に伴い鼻粘膜下の血管は減少し、鼻粘膜が痩せてきますと先のような役割が十分に果たせなくなってきます。血管と表面積が減少することで温度が下がりますと、湿度の高い空気を吸ったときに表面で結露が起こることが鼻水の原因になると言われています。

食事の時にだけ鼻水が出る方も多いですが、熱いラーメンをすすった時の鼻水と同様に食物の水蒸気が鼻内で結露したものと考えられます。
体から分泌されるものではないため、鼻水止めの薬は無効であることが多いです。粘膜を加湿する力も弱くなるため鼻内に痂皮(かさぶた、はなくそ)が付きやすくなることもあります。

 粘膜が痩せてきますと空気の通路は広がるため鼻詰まりはなくなるように思えますが、逆に詰まりを感じる方が多くなります。鼻が通っていると感じるには粘膜表面で空気の流れを感じる事が関係しており、空気抵抗がなくなりすぎると流れを感じにくくなることがつまり感の原因と考えられています。

 加齢である以上根本的な治療はありませんが、スチームの吸入が有効とされています。温度の下がった鼻粘膜を蒸気で暖めると共に加湿することで働きを改善することができます。簡単な方法としては蒸しタオルを鼻に当てて吸う方法があります。また足湯で足を温めることでも鼻の温度は上昇し有効とされています。時に古い時代の鼻水止めに入っている抗コリン作用が有効である場合がありますが、本来は副作用であるため注意が必要です。