【2021年5月号】 メニエール病
メニエール病はめまい、耳鳴、難聴の3つの症状が反復することが特徴の病気です。
突然の回転するようなめまい、または横揺れ、浮動感で始まります。めまいが強い時は同時に吐き気を伴います。数十分から数時間で徐々に軽快する事が多いですが数日に渡って持続することもあります。症状は変動することがあり、一度治ったと思っていたら数日空けて同じ発作を繰り返すのも珍しくありません。
同時に、または前後して耳のつまり感や耳鳴りを伴います。低音部の難聴を認めますが、これも変動が多く、1日の間でも調子の良いときと悪いときがあります。
比較的に自然に治ることが多いため数年間の反復後に受診される方も多いのですが、毎回の発作で完治していないと軽度の難聴が残ることがあります。発作を反復する度に徐々に難聴が進行すると本人はなかなか自覚できず、受診時には進行した状態であることも多くあります。発症後期間が経過してしまうと改善が難しいため早期の治療が必要となります。
直接的には内耳のリンパ液の循環障害が原因と考えられており、循環を改善する薬が使用されます。間接的にはストレス、疲労、不眠などが関与する事が知られており、生活の改善が必要な場合もあります。仕事のストレス、育児での疲労ストレスなどは女性に多い印象もあり、薬の治療ではほとんど効果がなかったものが、転職、休職で急に改善することも多く経験しています。
聴力検査、めまい検査を行いますが、診断の確定には時間を要することがあり、始めは別の病気と考えていたものが、途中でメニエール病と判明することもあります。繰り返すめまい、耳の違和感がありましたら疑ってみましょう。